PURPOSE OF THE EXPERIMENT
実験の目的
伊豆諸島の海域には、魚類、甲殻類、貝類の生息場所として、岩礁や転石帯などがいたるところに形成されています。
近年、磯焼けや海況変動により、漁獲量の減少が深刻な問題となっています。
IFAIでは、フルボ酸鉄を利用した藻場の回復を継続的に試み、
人工石材や自然石等を使用し、海藻類の着生状況の確認を行っています。
大島は、伊豆半島から、南東方約25kmに位置する島で、
東京からの交通の便も良く、フェリーや飛行機でのアクセスが可能。
地元では、洋上風力発電の計画が持ち上がるなど、実験への理解が進んでいます。
また東京都は、「つくり育てる漁業」への支援に向け、漁港の有効利用などを検討しています。
この仕組みを活用することで、実験後は、アワビの養殖場として開発する可能性があります。
島の南部に位置する、現在休止中の差木地漁港を、実証実験の場に選定。
3年間の占有を認められているこの場所は、行政・漁協などの理解をすでに得られています。
また、近隣には水産試験場があるため、地元の事情に即した指導が受けられます。
ABOUT ARTIFICIAL REEF
人工礁について
藻場造成(海藻着生基盤)のために用いるブロックは、鉄鋼スラグ水和固化体を使用。
この素材は、天然資材の代替として、省エネルギー・省資源の寄与する環境に優しい材料で、グリーン購入法の特定調達品にも認定されています。
鉄鋼スラグには、鉄や珪素など生物必須の元素を含むため、生物付着性に優れ、設置海域の生物改善効果が期待できます。
人工礁ブロック
人工石は天然石に比べ密度が大きいため、潮流や波浪に対する安定性が優れており、
庭生生物や大型藻類の着生基盤として使用。
ABOUT FULVIC ACID UNIT
フルボ酸鉄溶出ユニットの
構造と構成材料について
フルボ酸鉄溶出ユニットは、フルボ酸鉄を含んだ溶出材と、人工石で構成。
海況変動に対して安定性を保ちながら、生物付着の基盤としての役割果たします。
フルボ酸鉄溶出材は、
主に、下記の5つの材料で構成。
High-concentration divalent iron / Dam fixed sediment /
Bamboo sheath / Shochu residue / Fish residue
高濃度二価鉄、ダム固定堆積物
竹皮、焼酎カス、魚カス
ADDRESSING THE LOCAL PROBLEM
地元が抱える
問題への取り組み
地元水産業において、近年貝類の漁獲量の減少が問題となっています。
この原因のひとつとされているのが、「アイトクメ」という海藻の激減とされています。
「アイトクメ」は、大島周辺の浅場では、春から秋にかけて育つ海藻であり、
アワビなどの貝類の餌となります。
「藻場造成が、地元の問題を解決する」
アントクメを増殖することが、地元水産業者への最大の貢献だと考え、
増殖漁礁の改良および浮き漁礁の開発を目指しています。